設立経過

共同作業所『どんぐりの家』

1972(昭和47)年、はじめて埼玉県にもろう学校に重複学級が認可され、教育の対象からも外されていた“ろう重複障害”とよばれる、聴覚障害に加えて知的障害などの重複する障害をもつ子どもたちも教育を受けられるようになりました。
しかし、1980年代に入り、卒業期を迎えたろう重複障害児の進路、社会参加は大変厳しいものがありました。一般企業への就職はもとより、地域の作業所や施設への入所についてもろう重複ということで敬遠されたり、入所できても手話などで通じ合える仲間がいないため孤立してしまうこともありました。
そこで、「卒業後、在宅だけはさせたくない」「聞こえないという障害に配慮のある作業所がほしい」と、大宮・坂戸ろう学校の重複学級の親と教師等で、1985(昭和60)年にろう重複障害者の作業所をつくる会『どんぐりの会』が結成されました。聴覚障害者や相談員、手話関係者など多くの協力者の支えで、1986(昭和61)年に関東ではじめてろう重複障害者の共同作業所『どんぐりの家』が生まれました。
「どんぐりの家」を開所後、ろう学校の重複学級の卒業生だけでなく、さまざまな事情で在宅になっていた聴覚障害者を掘り起こし年々仲間が増えていきました。開所6年目の1991(平成3)年、仲間の親が亡くなり高齢になっていくなかで「親亡き後」の仲間の生活の場の保障、社会的・人間的な自立をめざす入所施設建設計画が決定されました。埼玉県ろうあ協会(現埼玉県聴覚障害者協会)、埼玉県手話通訳問題研究会、どんぐりの会が呼びかけ団体となって、県内のろう支会、手話サークル、ろう学校PTA、労働組合など40団体で、ろう重複障害者の生活・労働施設「ふれあいの里・どんぐり」をつくる会を結成し建設運動が開始されました。
そして、1996(平成8)年1月に身体障害者授産施設『ふれあいの里・どんぐり』が開所しました。

運営方針

情報・コミュニケーションの保障
ろう重複専門施設として、聴覚障害に伴う困難ニーズに対し情報およびコミュニケーションの保障をはじめとする十分な配慮と援助の取り組みをすすめます。
人権の保障
どんなに障害が重くても一人の人間として尊重され、生き生きと働き、豊かな人生を築けるよう取り組みをすすめます。
民主的運営
仲間、家族、関係者の一人ひとりが大切にされる討論をもとに、共同の事業として民主的な運営をすすめます。
地域に開かれた施設
地域、関係者の方々の理解と協力をもとに、地域に根ざし、地域に開かれた施設をめざします。
社会参加と平等の実現
埼玉の聴覚障害者福祉の向上、聴覚障害者の社会参加と平等の実現をめざします。